今回のテーマは所謂、高級車節税について解説します。
高級な自動車を事業として取得し、一括で経費にできないものか?
購入すべき時期は? 税務署に目を付けられないか?など
細かく説明しますので最後までご覧ください。

なお、計算式については割愛します。複雑なため見ないほうがよいですので(*_*)

高級車を100%一括経費にする際に押さえておきたいポイントは以下の通りです。

① 車輌は減価償却が必要な資産であること
② 一度に経費にするために条件を満たした中古車である必要があること
③ 事業年度開始の月に使用を開始すること
④ 事業の用に供していること

それでは、レッツスタディです。

① 減価償却が必要な資産とは?
本来、物には価値があり、税務上は10万円以上の資産を買った場合は、その価値が
どの程度の年数経過で0円になるのかを計算して「減価償却費」という勘定科目で処理します。

今回は高級車(普通乗用車)がテーマですので、普通自動車で考えてみます。

まず、何年経過で価値が0円になるかを示す概念として「法定耐用年数」があります。
普通自動車の場合 6年 軽自動車の場合 4年 と定められています。
上記の耐用年数は何れも、「新車」での耐用年数となります。
中には10年間大切に乗っても故障一つない持ち主さんもいらっしゃいますが、
税務上は普通自動車は6年で価値が無くなってしまいます。
つまりは、購入してから6年間かけて「減価償却費」として経費にしていくわけです。

例えば、1,000万円で新車を購入した場合、毎年170万円ほどしか経費にできないわけです。

② 一度に経費にするためには新車では出来ません
そう、お察しの方もいるとは思いますが、一度に経費にする場合、「中古車」という条件を
外すことが出来ません。理由は前述した「耐用年数」にあります。

新車の場合は法定耐用年数が6年と説明しましたが、実は中古車は考え方が異なります。

中古車は「中古見積耐用年数」を用いて耐用年数を算出します。
計算方法は簡潔に言うと法定耐用年数から経過年数を差し引いて求める耐用年数となります。
複雑な話になるので、結論から申し上げますと、3年10か月落ちの車両からは、
中古見積耐用年数が「2年」となります。

そして、減価償却には「定率法」と「定額法」とがあり、「定率法」を採用することで
車輛を購入した初年度にその全額「償却率100%」を経費にすることが可能となります。

③ 事業年度開始の月に使用を開始すること
ここからは注意点を挙げていきますが、減価償却費は実は「月割り」で計算されます。
よって、中古見積耐用年数2年の中古車をその購入した時期に全額経費にするためには
事業の開始の月に使用を開始する必要があります。
事業開始の日は 個人事業主の場合は1月 法人の場合は決算月の翌月となります。

また、事業開始月に「購入」した場合は注意が必要です。なぜか?
減価償却費の計算は、取得した資産を事業の用として使用を開始した日から行われるためです。

車を例に挙げると、気に入った中古車を購入してその日に乗って帰ることってできませんよね?
納車までの期間は、事業のためにその車両を使用しておりませんので、車の価値が下がり始めているとは
言えません。
つまり、納車されて乗り始めるのが事業開始の月でなければ、結果的に初年度での全額経費化はできません。

④ 高級車の事業性
そもそも論として、高級車であろうが事業との関連が認められない場合は当然に減価償却費(経費計上)は
出来ません。法人名義であるにもかかわらず、専ら自家用車として、事業ではまったく使わない車を経費には
出来ないという事です。
テレビで以前にフェラーリに石焼き芋の屋台を積載している方を見かけたことがあります。極端な例ですが、
あれは問題なく事業性が認められそうですよね。
ようは合理的に事業としてその車両を使っていることの説明、証明が可能かが大切となります。

まとめ
ひとつ、高級車であっても事業のために使う車で、
ひとつ、3年10か月落ち以上の中古車を
ひとつ、事業開始月に使用を開始し
ひとつ、定率法で償却する

この4つの条件を揃えることで「高級車節税」が現実味を帯びてきますね。

※減価償却費は初年度に一度に大きな経費を計上することは可能ですが、トータルで見た場合には
税金の繰り延べに過ぎず、最終的な税額や経費額は変わらない点についてはご留意ください。

以上、会計事務所経営の行政書士が「超簡潔」に高級車節税を説明させていただきました。

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